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HOLY GOLF BUSHIDO
-  神 聖 ゴ ル フ 武 士 道  -
新和魂洋才のすすめ
日本の伝統精神 + 英国の伝統文化
第16章 ゴルフマインドは存続できるか

武士道精神とジェントルマンシップ

ゴルフマインドとは一言でいえば騎士道精神でありジェントルマンシップである。英国はじめ欧米社会にとっても、騎士道精神やジェントルマンシップを教育することは簡単なことではなかったはずだ。家庭はもちろん学校や教会でも難しかったようで、宗教改革発祥の地にして教育に厳格なドイツですら人間教育に手を焼いている話を聞けば、英米北欧や豪州カナダなどのプロテスタント諸国が、ゴルフを教育に導入している理由が読めてくるのである。ラグビーやサッカー、テニスや卓球、フェンシングや柔道などは体力や精神力を養うには実に有効と思われるが、人格や品格を養うのにどれほど有効かとなると大いに疑問が残る。最近の日本ではゴルフマインドという言葉すら余り耳にしなくなったが、ゴルフマインドが騎士道精神やジェントルマンシップを意味するならば、武士道精神にも通じるはずだから、このゴルフマインドを復活させることによって武士道を再生できないかと思うのである。序章で述べたとおり、武士道はもともと外国の思想を導入した混血思想だから良いものはなんでも吸収する強かさがある。だから一時期ゴルフマインドと言う仮名を使おうが、ゴルファーという遊び人に身をやつそうが、そう簡単に武士道が堕落したり絶滅するはずがない。大石蔵之助や赤穂浪士の如く、いざその時がくれば忽ち本性を現わしてゴルファーはサムライに変身するのである。サムライゴルファーは礼儀正しい、正直である、正義感がある、思いやりがある、誠実である、常に冷静である、そのうえ腕が立って謙虚であれば申し分ない。ゴルフマインドとは全てのゴルファーに求めたゴルフの基本精神であって、本来はゴルファーに限ったことではなく、全ての人に求められる人としてあるべき姿に他ならない。私たちが考えなければならないのは、人が社会で生きていくうえで当たり前のことを、なぜ家庭も学校も社会も手をこまねいてしまったかである。実は手をこまねいたのではなく、手が出せなかったと言うのが本当で、新渡戸が心配したとおり道徳観念は、封建制度や武士道がなくなれば封印されたと同じことだったのである。戦勝国の占領政策は、天皇制を有名無実にし武士道を危険思想として封印すれば、日本人の魂は腑抜けになって、二度と欧米白色人種に刃向かうことはなかろう、と考えたとしてもおかしくない。なぜならば新渡戸稲造がはっきりと英語版『Bushido』で、日本人の魂を醸成した基盤は封建制と武士道であると書き記してくれたからである。案の定、新渡戸が心配したとおり、占領政策によって日本人の魂を形づくった道徳観念は足元から崩壊し、日本人同士がお互いの魂が何処にあるのか分らなくなってしまった。

ゴルフのプロフェッショナリズム

実は欧米のゴルファーには今だにゴルフマインドが立派に生きており、彼らに接するときその礼儀正しさと誠実さに頭が下がるし、ジュニアゴルファーであっても私が恥ずかしくなるほどジェントルマンなのである。私たちが失ってしまったモノをなぜ彼らが持ち合わせているのか、彼らは何処でそれを身に付け存続させてきたのか私には長年の疑問であったが、ゴルフの思想源流を訪ねるうちに、英国スコットランドのセントアンドリュウスを湧水源とするこの流れは、欧米プロテスタント諸国に現在も脈々と流れ続けていることに気が付いたのである。2万5千人ほどいる米国PGAプロたちは、ほとんどが大学でゴルフを専門的に勉強し教養品格を身に付けて、地域ゴルファーや子供たちにゴルフマインドの教育を行っているプロフェッショナルである。ゴルフプロフェッショナルとはプロテスタンティズムに支えられたゴルフ聖職者のことで、ゴルフで飯を喰っている商売人なんていう安っぽいプロ意識ではなかったのである。米国のプロは自らをゴルフプロフェッショナルと称し、ゴルフに生涯を捧げた者と告白する。このプロフェッショナル意識はマックス・ウェーバーが明らかにした、プロテスタンティズムに基づく神から与えられた天職意識と職業倫理で、強い使命感と責任感を伴っている。だから彼ら自身が持つゴルフマインドは次元の高いもので、クラブメンバーや地域ゴルファー、ジュニアゴルファーから尊敬と信頼を勝ち取っていることがよく分かる。このように欧米プロテスタント社会ではゴルフマインドの涵養を以って青少年の倫理道徳教育に対応し、人格や品格の養成を図っている。それゆえ現在でも欧米プロテスタント社会には騎士道ゴルファーが多数存在するが、日本には武士道ゴルファーは殆どいなくなってしまったから、今となっては武士道ゴルファーと騎士道ゴルファーの対決は見られない。その意味でゴルフマインドを養成すれば武士道の復活につながり、日本人の魂も甦ってくるのではないかと思えてならない。今も武士道復活を叫ぶ人は多いが、実際にどのようにすれば武士道が復活するか誰にも分らないし、前述したように武士道といったところで「習うに習う処なく、教えるに教える術がない」。だからこそゴルフマインドによって武士道精神を養ったらどうかと考えるのである。日本の人口の1割はゴルフの心得があり、そのうち半分はゴルフマインドについて先輩から忠告を受けたことがあるはずだ。そうすると日本人口の5%はゴルフマインドの心得くらいは知っているはずだから、この5%の人たちがゴルフマインドについて思い出し、子供や孫に伝達するならばゴルフマインドは存続することができるはずである。人口の5%といえば日本人の魂を支えた武士階級の割合に匹敵するわけで、この5%の人たちからゴルフマインドが伝達され、家族や友人に広がるならばその影響力は大きいはずだし、武士道復活の温床になるかもしれない。