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THE GOLF FUNDAMENTALS
-  ゴルフ経営原論  第一部 ゴルフビジネス  -
第一章 マーケティング
INTRODUCTION

ビジネスとは単に仕事や作業を表わす言葉ではなく、そこには必ず経済活動が伴うからマーケットインつまり市場参入しなければならない。ビジネスとして行われる仕事や作業には必ずコスト(費用)が伴い、それを補って余りあるレベニュー(収益)が必要とされる。その関係が無視されたりバランスしなくなったときビジネスは停止し破綻する。それでも継続する仕事や作業は慈善事業とか公共事業といって、明らかに通常のビジネスとは一線を画して理解されている。
通常ビジネスは経済取引が行なわれるマーケットに参入して有利な取引を進めなければ、収支バランスが合わなくなってマーケットから退場を迫られるだけでなく、ビジネスそのものを中止しなければならない。そのためにビジネスを進める基本要件として市場動向、人口動態、潜在需要、消費傾向などノンカスタマーといわれるや現在取引のない人たちや、近い将来マーケットに参入してくると予想される人たちの状況を予測しなければならない。
マーケティングとは通常営業活動と異なり、変化する社会の中で新たなマーケットやビジネスチャンスを探索し、ノンカスタマーといわれる未だ取引のない人たちに商品やサービスを知ってもらおうとすることで、ディフィージョン(普及)といってセリング(販売)とは明確に区別して捉えている。マーケティングの意味を取り違えるとノンカスタマー(非顧客)、リクルートメント(新規顧客)、リピーター(常連客)を混同して乱暴な営業活動や販売合戦を行い、マーケットそのものを混乱させ破壊してしまうことがある。マーケットが成長段階や成熟期にあるときならば、このような間違いを犯す者は少ないが、マーケットが縮小し顧客が減少しているときには焦ってこの種の間違いを犯しやすい。
特にゴルフのように非日常的な趣味娯楽の領域に属するサービス業においては、ノンカスタマー(ノンゴルファー)とカスタマー(ゴルファー)が歴然と区分されていて、マーケティングが得意とするニーズの掘り起しやリクルートメントの囲い込みに戦略戦術が立てにくいという問題がある。つまりゴルフをしたことがなく関心がない人に対して如何にして関心を抱かせるか、という初動作戦から始めなければならない点にターゲットの絞り難さがある。特に低迷衰退期にある日本のゴルフ業界にあっては経営の焦りから「明日の百より今日の一」に走る傾向が強く、本来のマーケティング戦略を立てる余裕がないと考える人が多いが、むしろそれは反対でこのような時期こそオーソドックスなマーケティング戦略を立てる絶好のチャンスと考えるべきである。本来マーケティングとは需要や市場のないところに新たな需要や顧客を創り出すことだからである。