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THE BUSINESS FUNDAMENTALS
-  ゴルフ経営原論  第二部 ビジネスマネジメント  -
第五章 マネジメント戦略  INTRODUCTION

マネジメント戦略とはハード、ソフト、ヒューマンの三資源を有機的に機能させて最大の経営パフォーマンスを引き出す経営戦略のことをいう。従来はヒト・モノ・カネを経営三資源と表現していたが、どうやら時代が変わりヒトやモノにいくらカネをつぎ込んでも経営は機能しなくなってしまった。ヒト・モノ・カネを有機的に機能させるにはソフトウェアといわれる有効な技術や知恵がなければならない。現代は世界的にヒトもモノもカネも有り余っていて、ヒトは仕事を求め、モノは需要を求め、カネは投資先を求めてさまよっている。
第一次産業革命期は石炭が、第二次産業革命期は石油が富として世を支配した。そして第三次産業革命期に当たる現代はソフトといわれる知識資源が富として世界を支配しようとしている。石炭も石油も地下に埋蔵される天然資源だが、知識資源は明らかに人の知恵によって創造される人工資源なので区域や規模を特定することができない。存在がデジタル化されているので実体が見えないばかりか、移動もオンラインで行われるので一瞬にして世界を駆け巡る。既に知識資源によって巨万の富を築いたビル・ゲイツのような富豪が現れており、世界をひとつにしてグローバルに社会変化が起きている。その社会変化の中でビジネス環境も大いに変わり、マネジメントの在り方も変化している。
ところがゴルフのビジネス環境は旧態依然とした状態が続いており大変革が求められている。その変革は社会変化を視野に入れた経営戦略に基づくマネジメント改革によって実現するものと思われる。特にアジア日本のゴルフマーケットは急成長する要因を含みながら顕著な経営戦略が見えない。それどころか日本のゴルフビジネスは衰退の一途を辿っており、経済産業省は崩壊のシナリオまで画いている。
そのような環境にあってもハード(施設)・ソフト(教育プログラム)・ヒューマン(プロスタッフ)の有機的な結合による戦略的マネジメントを実行すれば、新たなビジネス展開が期待できるだろう。特にハード(コース)につぎ込まれた資金は10兆円近くに昇り、経営の近代化も合理化も果たされないまま不良資産化し、やがて多くが廃墟になろうとしている。ゴルフは国民文化でありコースは国民遺産だから粗末に扱ってはならない。戦略的マネジメントによってゴルフ文化を復活させ、ゴルフコースを再生することができるはずだ。半世紀前、米国ゴルフ産業は教育プログラムやマネジメントプログラムを使った戦略的マネジメントによって、プロスタッフによる専門経営を実現して見事に再生した。具体的には教育プログラムによってプロスタッフを養成し、マネジメントプログラムによって作業標準化を図り、コストパフォーマンスの高い少数精鋭スタッフによる戦略的チームマネジメントを可能にしたのである。