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THE BUSINESS FUNDAMENTALS
-  ゴルフ経営原論  第二部 ビジネスマネジメント  -
第三章 タスクマネジメント  INTRODUCTION

タスクマネジメントとは仕事や作業の効率を高めるために仕事や作業の内容を分析検証し、無駄なものを排除し効率の悪いものを改善して人の有効活用を目指すことである。しかし、これだけでは本当の意味におけるマネジメントにはならない。繰り返すがマネジメントとは組織や人が持つ潜在パフォーマンスを最大限に引き出す管理技術である。それならば、現在行われている仕事や作業は社員やスタッフのパフォーマンスを最大限に引き出した結果であるか検証してみなければならないだろう。
人は自分の能力に気が付かない場合と発揮できない場合がある。これを潜在パフォーマンスというが、やって見なければ、やらせてみなければ分からないことが多いものである。基本的に潜在パフォーマンスは努力やトレーニングによって後天的に引き出されるものだから、チャンスが与えられなければ顕在化しないで終る場合が多い。
例えばボビー・ジョーンズにしても、もしゴルフに出会う機会がなかったならば普通の弁護士に終っていたかもしれないし、自分の能力に気が付かなかったならば平凡なアマチュアゴルファーだったかもしれない。ほとんどの人が自分の潜在能力に気が付かず、その能力の大部分を使わずに生涯を終わるという。本人にとってはもとより、企業にとっても大きな損失である。人の能力は最大の経営資源であり、その経営資源が使われずに眠っていたり、充分に使われていないとすれば実にもったいない話で、最初にマネジメントしなければならないテーマかもしれない。
特にコース経営にとって人件費は最も大きな費用項目である。人のコストパフォーマンスを追及することが、コース経営のマネジメントにとって最大の課題と考えるべきだろう。人は訓練すればいろいろなことができるにも拘らず、なかなか自分からやろうとしないし、気分によっては拒絶もする。ところが機械は故障しなければ常に能力一杯の仕事や作業をするが、その代わり他の仕事や作業はなにもできない。芝刈機に水撒きはできないし、フロント応対もできない。タスクマネジメントとは人と機械が行う仕事や作業のすみ分けとも考えられるが、人と機械が常にコストパフォーマンスを基準にした代替関係にあるとすれば人間の尊厳は地に堕ちる。人は機械以上のことや機械にはできないことができるからには、何としても人が機械を支配しコントロールしなければならない。この仕事に対する強い意識がなければプロスタッフもプロフェッショナルも育たない。
タスクマネジメントを行う前程として、仕事や作業の分類や標準化は欠かすことのできない要件であるが、それ以上に人材育成のためのエデュケーションプログラムやスタッフ養成のためのトレーニングプログラムが用意されていることが絶対要件となる。日本アジアのコース経営にタスクマネジメントが充分に導入できない原因はプログラムの不備にある。