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THE GOLF FUNDAMENTALS
-  ゴルフ基礎原論  第二部 ゴルフマネジメント科学  -
第三章 スコアマネジメント  INTRODUCTION

スコアはプレーの結果を無機質な整数で表わしているが、実はその中には本人以外に分らない、イヤ本人も気付かない複雑な内容や感情が込められている。あるホールのスコア欄に同じ数字が書き込まれていても、ひとり一人のプレーヤーには各自異なった作戦、思い、感情、評価があって数字からは内容の理解も評価も分析もできない。ひとつひとつのスコアには本人が語れば尽きることのないストーリーがあるのに、愛妻や恋人すら聞いてくれないから誰もが密かに胸に秘めるか忘却に努めるのである。しかし、このスコアを貴重な初期情報として記録するところからマネジメント作業は始まる。
スコアにいくつかの情報を付加してデータを取り、分析することによってプレーヤーの潜在パフォーマンスが分り、上達への道筋やウィークポイントの改善策が見えてくる。多くの場合、人は自分のことは分らないもので、毎回コースで何をしているか実情を把握していないから、自分の癖や傾向はじめ強みも弱みも認識できないものである。なぜ同じ失敗を繰り返すのか。なぜスコアがよくならないのか。なぜワンストローク・ワンパットを減らすことができないのか多くの人が悩む。どういうことか本人にも理由の分らないことが、スコアや内容を記録することで徐々に原因や傾向が見えてくる。本人に分らないことも、記録やデータを見ればコーチやインストラクターにはすぐ分る。スコアデータには練習場で見えないプレーヤーの実体が表現されているからである。
プレーヤー自身もデータ分析から知らなかった自分の特性や気が付かなかった自分の弱点を知って、上達目標を掲げ練習メニューをつくることが可能になる。クルマの運転とゴルフにはその人の性格や癖がよく現れるというが、一番分っていないのが本人であることが多い。
ショートホールのティーショット成功率が高いのに、ミドル・ロングホールの成功率が低い人はドライバーに対する意識過剰に陥っている場合が多い。ドライバーを手にすると人が変わるタイプである。ドライバーを持った瞬間に体内のアドレナリンが一気に吹き出して、親の仇を討つが如くボールを叩いてしまうタイプで、このタイプは中級者に多い。
パーオン率が低いにも拘らず平均スコアがよい人は、パットが巧いよりアプローチが巧い人が多い。PGAツアースタッツのスクランブリング部門の優れたプレーヤーである。
逆にパーオン率が高いにも拘わらず平均スコアの悪い人は明らかに平均パット数が多いプレーヤーである。グリーンオンにこだわる余り常に難しいパットを強いられている場合が多い。
セルフマネジメントとは「己を知る」ことだとすれば、先ずはスコアレコードから全てが始まる。