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National Golf Foundation College Textbooks
THE BUSINESS FUNDAMENTALS
-  ゴルフ経営原論  第一部 ゴルフビジネス  -
第二章 プロモーション  INTRODUCTION

ビジネスを進めるには優れた商品サービスをもってマーケットインするだけでなく、積極的にマーケットやカスタマーに働きかけていかなければならない。
どんな優れた商品サービスもマーケットやカスタマーが知らなければ、消費や取引に結びつかずビジネスに発展しない。また知らせるだけならアドバタイズ(広告宣伝)という手段があるが、知っただけでは旺盛な消費や活発な取引に結びつくわけではない。潜在需要が豊富にある日常商品や生活サービスの場合には広告宣伝によって販売促進することが多いが、新しい市場や需要を創造する場合には広告宣伝だけでは難しく、広告宣伝期間中の一過性に終わることが多い。広告宣伝に依存する売上増加は変動費率の高い損益分岐点を構成し、常に広告宣伝費と「イタチゴッコ」の関係に陥り、苦しい経営を迫られることになる。
例えば新聞雑誌テレビなどのマスコミ媒体を使って広告宣伝した場合、一過性の売上増加を見ることができるが、広告宣伝費と売上利益率が相関関係にあるために、やがて採算割れして破綻することが多い。ゴルフビジネスの場合にはクラブなどの用品販売ならばマスコミ媒体を使った不特定多数に対するマス広告が有効であるが、ゴルフ場や練習場、ゴルフフィットネスやスクールの場合には極めて地域限定的な商圏を構成するため、マス広告には馴染まない。地域性の強い地場産業的なゴルフビジネスの場合には、ミニコミ媒体や折込チラシのようなエリアマーケティングに基づく地道な顧客作りに依存している。
エリアマーケティングを支える現実的な市場顧客づくりのサポート手段として恒常的なプロモーション活動が必要と考えられるが、戦略的にも戦術としても効果的に行われているケースは少ない。ゴルフ業界には専門教育を受けた人材が乏しいうえ、経営体質そのものに経営科学を導入する基盤がない。そのためにトップマネジメントから現場スタッフに至るまで、厳しい現実に対してどのように対応したらよいか分からないのが現実である。
プロモーションとは販売促進とか振興の意味だが、具体的に何をすれば売上が向上しカスタマーが増加するのか、簡単には説明できない。経営は常に結果を求められ実績を残さなければならないから、衰退期には一層硬直し勝ちである。
プロモーションというビジネス概念は、アメリカ経営学が発達して生まれたようだが、需要が旺盛な右肩上がりの時代には、次々と新しい商品サービスをマーケットに送り出している業界で「販促」と称して盛んに行われていた。需要が低迷する時代になってからは統合再編成、縮小合理化、人員削減など需要減少に対する対策が先行して、需要を喚起するプロモーションだの販促という言葉を聞かなくなった。エコポイントや減税補助金制度は景気低迷期の苦肉の策であって、本来のプロモーションとは性格が異なるはずである。