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National Golf Foundation College Textbooks
THE GOLF FUNDAMENTALS
-  ゴルフ基礎原論  第二部 ゴルフマネジメント科学  -
第一章 セルフマネジメント  INTRODUCTION

マネジメントとは単に管理することではなく、最善を尽くして最大パフォーマンスを発揮することである。セルフマネジメントつまり自分の持てるパフォーマンスを最大限に発揮するために必要な具体的方策に他ならない。方策の第一はボールを如何に意のままにコントロールするかで、実際にはスピンコントロールのことをいう。ボールフライトロウが明らかにされてから、ボールは自由自在にコントロールされるものになり、コースにより状況によりスピンを変えて弾道を選択するようになった。インテンショナルドロー&フェードあるいはバックスピン&サイドスピンの利いたアプローチショットがある。風などの自然障害に対してはハイ&ローで対応する。全てワンスイング・スクウェアシステムによって実現したのである。

第一部で詳説したが、1970年代までゴルファーにとってゴルフボールは実にままならぬ存在で、プレーヤーの意思に反する行動ばかりとる厄介者であった。右に危険があれば大きなスライスボールが、左に危険があれば強いフックボールが、いかにもプレーヤーの心理を見透かしたように飛ぶものとされていた。弾道はインパクトの瞬間の物理法則に従うものでスイングのメカニズムと直接因果関係がないことが明らかになり、生体原理と振り子原則に叶った一定のスイングをつくれば、ボールは意のままにコントロールできることが明らかになった。更に一定のテンポを保ったワンスイングを時計の文字盤に合わせて5段階の大きさにストロークコントロールすることによって、ヘッドスピードを変え距離を調節する方法がとられるようになった。用具の性能や機能が進化したことと相俟って、弾道はプレーヤーの意のままに(インテンショナルに) 状況判断によって作戦的に最も有利な弾道を選択しコントロールされるようになった。
これら状況分析、意思決定、弾道選択、クラブ選択、スイングコントロールなど一連の作業にマネジメント概念が導入されたことにより、プレーヤーサイドにもイノベーションが起こったのである。フィジカルな側面に対応するマネジメントテクノロジーは急速な進展を見たもののメンタルな側面に対応する方策は遅々として進まず、セルフマネジメントの最大の問題点はマインドコントロールにあることが明らかになってきた。マインドは心理、感情、精神の領域に及ぶため自分自身で解決できないことが多いばかりか、現代人にとって大きな問題になりつつある。特に近年、コントロール不能の状況に陥る人が多くなり、その症状も悪化の一途を辿って社会問題になるほどである。
セルフマネジメントはゴルフの世界を超えて、全ての人を対象にした大きな社会問題に発展していることに注目しなければならない。