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National Golf Foundation College Textbooks
THE BUSINESS FUNDAMENTALS
-  ゴルフ経営原論  第一部 ゴルフビジネス  -
第五章 ビジネスポリシー  INTRODUCTION
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長い歴史と伝統を持つゴルフは、娯楽遊戯を超えた神聖な領域を有している。ゴルフビジネスを単なる金儲け手段と考えるならば、娯楽遊戯として捉える方が遥かに有利で早道かもしれない。日本のゴルフ市場は全スポーツ産業の半分以上を占める巨大なマーケットなので、さまざまな業種が参入している。ゴルフは大人を夢中にさせ、知らず知らずのうちにお金を使わせる不思議な性格があるので、不健全な形態の方が一時的には儲かるようだ。そのためにかつて多くの不祥事や事件を引き起こし、先のバブル崩壊で10兆円近い巨額の損失被害を出したことも記憶に新しい。
1970年代から開発された1000箇所近いゴルフコースは預託会員権制度に支えられ、1コース100億円前後の不動産金融手段として投機商品に利用された。多くの善良なゴルファーたちがゴルフを楽しみながら財産形成や金儲けができるという誘惑に乗って、大切な老後資金や個人資産を失ってしまった。自己破産に追い込まれ仕事や地位を失ったばかりか、家庭崩壊によって自ら命を断った人までいた。バブルとその崩壊は、日本のゴルフ史に拭い去ることのできない大きな禍根を残してしまったのである。
ゴルフという健全なスポーツゲームは私たちに倫理道徳を教え、豊かな人生を提供してくれる半面、ひとたび商業娯楽主義に利用されると、危険な牙をむき出し家庭や人生まで崩壊してしまう性格があるようだ。ゴルフを不健全な道楽にする方が悪いという意見もあるかもしれないが、需要側の責任以上に供給側の責任の方が重いはずだ。ゴルフビジネスに携わる者に明確なポリシーとプロフェッショナル意識があれば、間違いなくゴルファーをより健全で豊かな方向に導くことができたはずだからである。
ゴルフの歴史と伝統を大切にする意識があれば、カスタマーとか顧客という以前に、善良なゴルファーたちを不幸にし奈落の底に突き落とすようなビジネスプランは思いつかない筈である。ビジネスはどうしてもモラルや秩序以上に利益追求を優先する性格をもっている。資本主義社会の下でビジネスは利潤追求手段そのものだからである。なぜならば利潤なきビジネスは容赦なく撤退を迫られる厳しい市場原理のもとに成り立つのが資本主義だからともいえる。資本主義の善悪の問題ではなく資本主義の本質の問題であって、私たちは資本主義社会における市場原理に従ってビジネスする以上、暗黙の掟として存在するエチケットやルールも守る責任を負っている。
エチケットルールを大切にするゴルフの世界で、ビジネスする者にもエチケットルールが求められることは余りにも自明の理であって、ゴルフの本質を忘れた者、知らない者にペナルティが課せられたとしても仕方がない。ポリシーやモラルなきビジネスは必ずゴルフの文化性を毀損してゴルフそのものを衰退させることになるからである。



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